ハッセルブラッド 坂田栄一郎

先日テレビで坂田栄一郎という人を知った。雑誌AERAの表紙をずっと撮り続けている人で、まさにポートレート専門の写真家である。

テレビの中で彼は、ハッセルブラッド(画像参照)にて撮影し、自宅のラボで12×14インチ四方くらいの大きなB/W印画紙に焼いた作品をテーブルの上に並べて、完成作品をどの焼き加減にしたものとするかを検討していた。

 

確かにその作品は紛れもなくハッセルブラッドで撮った、大判フィルムならではの見事に精緻な描写力と陰影を持ったものだった。

 

しかしここで「ん??」と気がついた。

自分が見ているテレビはハイビジョンとはいえ高々200万画素。

しかもその写真は画面の中の机の上に置かれたもので、画面中1/20程度しか面積を占めていないのだ。それなのになぜ大判カメラでしか表せない写真が、テレビから見えるのだろうか、と。

 

答えはまだみつかっていない。

可能性として思うのは、写真家が写し取った被写体の深さが、そのようにテレビを通してでも見る者に何かを伝えているのではないかということかもしれない。

 

とにかく凄い物を見てしまったという思いで、今これを書き留めておきたかったのだ。