RICOH CX6の話し

CX6が新発売になった。いよいよCXも6まで来たのである。

 

今回の新発売を受けて、昨日おとといはリコーの営業マンが売場に販売支援で来てくれた。なかなかのカメラ好きで自社製品の技術内容についても細かいところまで良く知っており、CX6に限らず面白い話しが聞けたので覚えている範囲で紹介してみよう。

 

・超解像技術

光学ズームの倍までを実用範囲とする電子ズームや、ディテールエンハースメントを行う超解像技術とはどんなアルゴリズムなのかを聞いてみたところ、どうやらアンシャープマスクのようである。ということは決して画像の目が細かくなったのではなく、見かけ上の精細度を上げ、人の目を誤魔化しているに過ぎない。言い方を変えると、人の目に適した情報表示をするように画像を加工しただけで、決して情報量が増えたわけではないということである。

そうすると、超解像ズームは、倍率は上がったように見えるが、情報量は1/4に減ってしまったことになる。この点は後日実写にて確認する必要がありそう。

 

・10倍レンズの大きさ

CXシリーズはずーっと同じボディサイズできているが、今回も光学10倍ズームである。今では同等のサイズで光学15~18倍が他社から出ている。この点について聞いてみたところ驚きの回答が得られた。

結論から言うと、現在のコンパクトデジカメはほぼ全て、RAW(生)レベルの画像は樽型歪曲し色収差も強く発生しているという。画像処理技術がどんどん向上し小型化できたので、レンズを安く作り後処理でまともな画(え)を作っているのである。

CanonのS95あたりはRAWデータ記録ができるので、それを見ると結構な歪みが出ているというから、後日確認してみよう。

さてそんなに簡単に歪を直せるのだろうかと思うが、そのカメラに付いてるレンズは必ず同じであり、ズームの焦点距離もエンコーダーにて把握できるので、開発段階でそのレンズの焦点距離ごとの歪を具体的に知ることで十分に対応できるということのようである。これによりレンズのコストとサイズを小さくすることができる訳である。

前置きが長くなってしまったが、CXシリーズのレンズが小型化されない理由は、この歪を発生させないレンズを用いているからだという。後処理で歪を取り除こうとすると速写性が犠牲になるわけで、それよりは光学機器メーカーとしてはレンズを重視しようというコンセプトのようだ。

そもそも写真は長年フィルムで記録するものであった。フィルムの時代は後処理で画像の歪を取るという発想は無く、如何にして歪まず解像度が高く明るく描写性が高いレンズを作るかというのが、各メーカーの腕の見せ所であったわけだ。

RICOHももちろん画像処理技術はふんだんに用いているが、レンズだけは譲らなかった。それは勝手な想像だが、レンズの持ち味を100%写真に反映させたかったからではないかと思う。画像処理で歪みを取り除くという行為は、イコール、レンズの個性を捨てることになるからである。

そういう訳で、今回もボディサイズとズーム倍率は変わらなかったのである。