Nikon D70 vs Panasonic FX-66

週末に家電屋のカメラ売場でアルバイトをしているので、常に最新モデルを触ることができるのだが、、、、

残念なことに店の中でしか撮影できないので、実用性能を試すことは非常に難しい。そんな環境で仕事をしている実感としては、着実に月単位で細かい進化はあるけれども、根本から概念がひっくりかえるようなことはまず起らない。

例えるなら、1300ccクラスの乗用車は、10年経って幾ら洗練されても1300ccクラスであることと同じである。

 

デジカメは大雑把に言うとコンパクトと一眼に分けられる。その最大の違いはイメージセンサーの大きさで、面積は約10倍違う。面積は乱暴に言えば起電力と比例するのだから、大きいほど起電力に余裕があるわけだ。乗用車のエンジン排気量の例にあてはめると分かりやすい。1300ccと3000ccでは、坂道での余裕や緊急加速の敏捷性が違うといった具合だ。

 

我が家のFX-66は一年半前、D70は7年半前に発売されたモデルだが、6年程度でコンパクトカメラカメラが一眼カメラに追いつくことは出来ないことがハッキリしたので、ここで紹介しよう。

まずはFX-66。

暗い温室の中に霧を吹いたところを撮影した。(写真クリックで拡大)

霧の表面に油の膜が張ったような、実在しない黄色っぽいまだら模様が見られる。

 

 

続いてD70.

同じ場所を同じ設定で撮った。

というか、FX-66をiAモードで撮影し、D70も同じ設定にしたのだ。

 

 

シャッタースピード:1/4

絞り:F2.8

ISO感度:400

焦点距離:FX-66=25mm、D70=30mm

 

D70の写真には、実在しないものは出現していない。

実在しないものが写りこまないのは、写真としては当たり前のことなのに、コンパクトデジタルカメラではそうはいかないことが露呈してしまった。

 

この差はFX-66がこの撮影条件に対して自動的にISO400を選んだことに起因している。コンパクトデジカメにとってISO400と いう値は電気的増幅率が高く、画素が発する熱ノイズも増幅してしまい、それが画像にも現れてしまうのである。しかしこのカメラの性能からしたら、ISOは 400にしないと撮影できなかったのである。

一方D70ではセンサーが大きく暗いところでも圧倒的に小さい(多分1/10)増幅率で済むので、ノイズは画像に現れず、これだけの画質差が生まれている。

 

ノイズ以外にも、温室の奥行き感や霧で湿った空間の雰囲気なども写し出されているのがわかる。これらはレンズや回路の安定性からくる余裕などに起因すると思われる。一眼カメラの面目躍如といったところだろうか。

 

最後にFX-66の名誉のために付け加えておくと、暗いところでは全然ダメなわけではなくて、たまたま暗いところの霧が不得意だっただけなのだ。デジカメはみな輪郭が無い物の撮影は不得意なのだ。

D70でもISO感度をもっと上げていけば、どこかで画質はガクンと落ちるはずである。

そもそもフィルムカメラでは感度の切り替えなどできなかったし、感度はカメラの性能ではなくフィルムの選択によって決めるものだったのだから、感度でコンパクトカメラを虐げるのは可愛そうというものであろう。