農大の同級生で、寮でも同室だったT君が温室に立ち寄ってくれた。
彼は今千葉大学柏の葉キャンパス内の全農圃場で、トマト一段密植養液実証栽培のアルバイトをしている。
そこには全農の他に企業も何社か入っているそうで、色々な設備について話を聞かせてくれた。
しかしいずれも「ほぼ金に糸目をつけない」レベルだそうで、あまり参考になることはなさそうだった。
彼はトマトの世話をするのが仕事なのだけど、しょっちゅうノズルが詰まったりホースが外れたりして、そういうあれこれのメンテをしているほうが多いってなことだそうで。。。
それは何故なのか、ボクには良く分かる。
その設備でトマトを栽培したことがない人が、その設備を設計したからなのだ。そんなレベルなのでいつまでたっても養液栽培は一般化しないのだ。
そんな最先端?設備を毎日見ているT君だから、ボクの設備を見ただけで何がどうなっているかは、すぐにお見通し。
でもそんな彼でも驚いていたことが幾つかあった。
・細霧冷房のノズル詰まり予防のために、カルシウム除去装置が取り付けてあってちゃんと機能していること。
・更にその装置が自作であること。
・細霧冷房の高圧ポンプに中古の家庭用高圧洗浄機を使い、コストを1/15で済ませていること。
・養液ポンプに家庭用温熱暖房ボイラーから取り外した中古の循環ポンプを使い、コストを1/5で済ませていること。
・養液タンクに井戸水を通す熱交換器を入れて、冬場の保温、夏場の冷却を行っていること。
・徹底的にコストを削った、合理的な構造と素材からなる栽培ベンチ。
・ホットカーペットを用いた育苗ベンチ。
・冷房入りの休憩室。
・うっそうと茂ったバジルの森。
そりゃそうで、どれもこれも全部一人でトライアンドエラーを延々と繰り返して総合体としてまとめあげてきたのだから、企業が取り組んでいるものより少しは強いところもあるはずだ。
特にバジルの森は、「いったいどうやったらこんなに大きく育つのだ?」と心底驚いていた。