昨年の夏の暑さは大変なものだった。
だからというわけではないが、夏場の温室内は大変に暑くなるわけで、植物にとっても大きな負担となる。
昨年の6月末には既に、これは放っておくわけにはいかないと思った。
高温対策のひとつに細霧冷房という手法がある。
日本で専門業者に依頼すれば、ボクの温室一棟だけで何百万円もかかってしまう。
しかし原理は単なる霧吹きである。つまり空中打ち水。
これは運転費用が安くて効果抜群だけど、水滴がすぐに蒸発するように、霧をとても細かくしないと作物を濡らしてしまい、病気を呼ぶことになってしまう。
なんとか自作できないものかと昨年から調査と実験を続けてきたのだが、高圧洗浄機のポンプを流用すれば実現の可能性があるとわかってきた。
そこで問題になるのは高圧洗浄機のホースと細霧冷房ノズルの接続。
何しろ水道水の50倍もの圧力なので、並みの細工では持たないのである。
色々試してみて、接続用の部品は自作するしかないという結論に達したので、ボール盤やその他必要な工具と材料を買い揃え製作を開始した。
まずは細径の錐で貫通穴を開ける。
用意したのは無垢の真鍮。
サイズは20×50正方(ミリメートル)。
徐々に太い錐に換えていって、穴を広げていく。
3通りのドリルを使い分けて穴を開け終わったところ。
角度を変えて見た穴。
穴の深さは1/20ミリの精度でチェックしている。
真鍮ブロックは50ミリ四方なのだけど、端の方を使っているのにはわけがある。
というのは、ドリルでちょっとでも穴を深く開けてしまったらそれでアウトなので、2回まで失敗してもやり直しができるように場所を残しているのである。
失敗しないように慎重に作業したからか、一発で思っていたものが出来上がった!
画像左下の黒いホースが高圧洗浄機から来ている高圧水。
真鍮の接続装置を通して右側に圧力計をセットしてみた。
リョービ製洗浄機のスイッチを入れると、この通りメータを振り切って100Kgf/cm2を超えている。
この圧力計の取付部分は1/4テーパーネジなので、日本の水道設備部品と互換性が取れるのである。
リョービの側はマッタクの独自仕様で、さしずめソニーのメモリースティックかオリンパスのXDカードなのであった。
電気ものだったら大抵のものはテスターと半田ごてで何とかしてしまうのだが、精密金属加工は経験が殆ど無いので、今回の件はほぼ一年に渡ってずーっと未解決のまま頭のかなり真ん中あたりに引っ掛かっていたので、ずーっと憂鬱なのであった。
しかしようやく思考が熟し時が来て、今日目的を果たすことができたのだ。
久しぶりに本当に酒も晩飯も美味かった。